88年の大統領選挙では、レーガン政権下で副大統領であったブッシュが当選しました。引続き景気が拡大基調を続けていたことに加えて、財政赤字を批判した民主党の主張が、国民に増税の懸念を抱かせたことなどがブッシュ勝利の主因でした。ブッシュの政策は一言でいえばレーガノミックスの継承であり、目新しいものはほとんどありません。当初、財政赤字については“フレキシブル・フリーズ”(増税なしで赤字削減)を主張しましたが、改善は遅々として進まず、むしろ悪化しています。レーガノミックスの負の遺産の重荷のなかで、国民生活の悪化、エイズ、麻薬の拡散とそれに関わる暴力犯罪の増加などが、一段と目立ってきます。加えて、中東危機の高まりと前後する90年の夏場から、8年に及んだ景気拡大局面が下降局面に変りました。
前提が変われば結論が異なってくるような予測や、希望的観測のような予測もあります。幸か不幸か、実際の社会や経済はしばしば人々の予測や期待とはかけ離れたところへ動いて行きがちです。暗い予測が的中しないように、人々は目の前の問題を解決しようと努力し、明るい未来へ到達しようとします。20世紀前半の日本は「軍事大国」に傾いて潰滅的な打撃をこうむりました。後半は、「経済大国」に向けてひた走り、どうにか豊かな社会の入口に達しました。これから日本がめざす「生活大国」への前途には、険しい山や深い谷もひかえています。経済は生きています。動きは激しく、意外性もあります。ひとつひとつの動きを丹念につないでいけば、経済の大きな流れが読めてくるはずです。
一般企業は一定の期間ごとに自社の収支を計算し、黒字だったのか、赤字だったのか、といった資金の出入りを確認している。それは国も同じで、貿易や投資に関する収支をチェックしている。国同士の一定期間における経済取引の収支を貿易収支というが、貿易収支には貿易黒字と貿易赤字が存在する。つまり、輪入(支出)が輸出(収入)を上回っている国では、支出超過のために貿易赤字国となり、逆ならば貿易黒字国となる。かつて貿易収支といえば、日本がアメリカへ自動車を輸出したり、オーストラリアから小麦を輸入するなど、モノを通じた経済取引をさしていた。だが近年は、モノの売り買いだけが経済取引ではなくなった。海外旅行のさいにホテルに泊まってレストランで食事をしたり、インターネット上で有料の情報提供を受けたりといったサービスもふくめて考えるようになったのだ。